家庭ヒアリング

ん、この風景を見せつけられるんだから、嫌になるのは当然ではありませんか。
週に一回、東京と地方の新聞二紙に連載コラムを書いていた時。ある朝、リュウマチの手
首がいつになく痛かったせいもあって、このコラムで〃干し物の風景〃と題して、なぜ主婦
達はあんな醜い物を平気で人前にさらすのか、なんという美意識の欠落であるか、と少し激
烈に書いてしまった。

サァ大変。来ました来ました投書の山。ついには新聞の担当者がどうしましょうかこの処
理と、投書の山抱えて相談に来た。
モチロン全部お怒りの投書であった。
だいたいとのコラム始めて約半年。二回に一度くらいの割合で一通ぐらいの手紙は必ず来
わかるものと判っていた。

旅先の食べ物の話を書けば「どこどこにもっと旨い物ありますよ」とか、男がひとりで料
理するのをワビシイとなぜ思うのかと書けば、七十四歳の大学の先生から「女房が亡くなっ
て落ち込んでいた私のひとり暮らしの気持ちを切り替えさせてくれた」とか、まあ好意的な
ものばかりだったのだが、サァ今回は違う。
こちらの機嫌が悪かったせいもあるし、昔、家族にヒアリングして得た返事の確証もあっ
て「……別に夫や子供達を暖かい布団に寝かせようという愛情のせいではなくて、押入れ